オランダからのインターン
今日、オランダから私のところにインターンで来ていた学生がオランダへ帰って行きました。
ある日、インターン希望のメールが来たのです。
そういうメールは今までも来なくもないのですが、多くは、日本の地利を分かっておらず、滋賀の不便さを伝えると返事が返ってきません。
ですが、彼女は珍しく違いました。
都会のデザイン事務所ではなく、私の主とするようなローカルなデザインに興味が有ったようです。
彼女は韓国人でオランダの大学に通う4年生です。
日本語がペラペラで4ヶ国語がしゃべれました。
こんな田舎の私のところに来るなんて、かなりの変わりもんだと思いました。
来ると言っていた初日に、時差の計算を1日間違えて来なかったというおっちょこちょいです。
そんな、おっちょこちょいぶりは、最後まで続きましたが。笑
まぁ、それはさておき、非常にコミュニケーション力に長けている学生で、フットワークが軽いなと思いました。
メールが来たと思ったら、もう来たの?っていうくらいに来た感じです。
前もって送られてきた作品集のPDFも、内容は良く分からないけどセンスの良さは感じました。
彼女の通うオランダの大学 Design Academy EindhovenではMan and Activity(人と行動)という学科にいます。
日本のようにプロダクトとかグラフィックとかそういう分野の隔てではなく、Man and Well-being(人と健康であること)とか、Man and Mobility(人と移動性)、Man and Leisure(人と余暇)などが学科名であり、それで何をデザインするのか良くわかりません。非常に抽象的で問題に対するアプローチが学科を隔てているものであるそうです。もののデザインというより、人と何かの間の関係性をリサーチし、そこから何かを作っていくという非常に興味深い学科のあり方です。
実際にどう作るのか、使うのかということより、非常にコンセプトを重視しており、彼女の作品もぱっと作品集を見ただけではわからないものが多かったです。そして、聞いてもイマイチ完全に理解できるものではなかったですが、そういったプロセスの中で色々な可能性を探ることの大切さを感じました。
インターン期間も2ヶ月と長く、2ヶ月行かないと単位にならないそうで、日本とは全く違うと感じました。
私もあえて、滋賀県立大学の学生とたくさん触れ合えるように機会をたくさん作り、いろいろなところへ連れて行きました。
こちらの学生にとっても、異国の大学生とこんな話をできる機会は滅多にないわけで、そのことは今になって彼女に取っても、こちらの学生にとってもすごく良かったと思いました。
「なんで、好きなことができるのに、やらないの?」
こちらの学生が卒業制作のテーマ決定で悩んでいる時に、彼女が放った言葉。
本当にそうですね。
彼女はあと半年で卒業ですが、卒業研究にかける時間は半年で、先生にプレゼンテーションを5案しないといけないようでした。
そのなかから 2つ選んで卒業制作にするそうです。
1つでもいいのですが、簡単に卒業の合格が出ないものだから、保険をかけて2案するという話でした。どんなに出来が悪くて、合格基準に達していなくとも再提出を重ねて合格にして卒業させようとする日本の大学との違いは大きいです。あちらでは一人の先生が「理解できない」と言った瞬間にF(不合格)です。「本当に怖すぎる」と言っていました。日本の大学もそうすべきですね。
彼女には、グラフィック、パッケージ、家具、現場作業まで色々やっていただきましたが、やはり日本人にはない感覚があるなと思いましたが、私もいろいろなことを学びました。そして、日本人のアイデンティティについてより深く考えるようになりました。
こちらの学生よりもはるかに、毎日のように一緒にいたので、いなくなってしまうのが本当に寂しく思います。
私も一人ではできなかったと思う仕事もたくさんあって、かなり助けてもらい、チョンマルカムサハムニダです。
オランダで良い卒業制作ができますように頑張ってください。
彼女の大学の先輩、トード・ボーンチェ氏に会いに富山まで行きました。
The student who had come by the internship today returned to the Netherlands.
She has come from a Design Academy Eindhoven.
Mr. Tord Boontje is a superior of her university.
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